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わしゃ凡夫じゃから悟りは開けんよ。
坐禅をやっても悟りは開けん。
ただ坐禅をやっている間は、苦しみを忘れるわな。
それでいいのじゃ。
人間はみな煩悩をもっている。
それを相手のせいにしちゃいかん。
自分で始末する。
そこが大切なことじゃね」

(『大拙と幾多郎』p207 『野村洋三伝』)


以前のブログで、横浜ホテルニューグランド建設に携われた野村洋三氏を引用しました。


 「ホテルで洋三は、泊まり客の間を握手して歩くのをひとつの仕事としていた。心をこめての握手であった。異国に来て淋しい思いをしているひとたちには、その洋三の握手が、殊のほか見にしみて感じられる温かさだった。そういう評判であった。外国人だけでなく、握手の習慣のない日本人でも、洋三に手を出されると、ごく自然に手を出せて不思議かられた。
 (七十年近く交流のあった)大拙は、弔辞の終わりに妙好人の例を引き、洋三をそれになぞらえてこういった。「きみはある意味ではsophisticated妙好人であった。仏教の慈悲心はまた柔軟心にほかならぬ」」(p313)


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先月、ホテルニューグランドのマッカーサールームにカンファレンスで訪れる機会があり、
この大拙と洋三氏に思いを馳せ、温かい気持ちでおりました。


「柔軟心」は、相当な鍛錬が必要だけど、
柔らかく、しなやかな心で生きられるよう常に呼吸を整えておこう。

今日も呼吸。ありがたい、ありがたい



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「洋三は、東慶寺の美智の眠る墓に葬られた。隣には弥吉が、その先の隣りには大拙自筆の「鈴木大拙夫妻之墓」という墓石の下に大拙夫人ピアトリスが眠っている。そして宗演も、すこし高い所で見守っている」(p313)


こんどは東慶寺を訪ね、お泊まりで来よー(^-^) 

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2023.08.10 蓮の実
立秋を迎え、心なしか朝夕吹く風に、
夏の峠がそろそろ過ぎようとしている気配が感じられます。


美しい姿を楽しませてくれた一つの白蓮に、実がなりました!

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「大賀蓮」という蓮の品種はなんと、二千年前の種も発芽するくらい
蓮の種はとてつもない生命力を持っているそうです。

いにしえの、遥か遠い遠い昔から、途方もないスケールで、
神秘的な生命力を宿し、子孫を保ってきたのですね。



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何百年も芽を出さずに眠ることができるといわれる蓮の種。

簡単には発芽しないといわれるのですが、
主人が昨年開花した白蓮から受け継いだ実の発芽に挑戦しました。


昨年の秋頃、黒く硬くなった蓮の実を採集して、
今春になって四つの種を紙やすりで削って、浸水させて、発芽を待ちました。


するとそのうちの二つに芽が出ました。発芽の成功です


さらにそのうちの一つから、

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今、やわらかい葉っぱを付けた茎たちが、
水中から一所懸命に、立ちのぼってきています。

たった一つの小さな実の、なんて逞しい生命力でしょう。



あのー、もしかして、何百年もまだ眠っていたかったかしら...
目覚めさせてしまってごめんなさい(^_^;)



蓮の花は、人生のあまたを教示してくれる智慧の象徴ですね

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2023.07.26 暑気払い^^
連日の炎暑に、エアコンをフル稼働させるこの頃です

厳しい暑さが続ておりますが、皆さま、いかがお過ごしでしょうか。


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著書『謎の哲学者ピュタゴラス』(左近司祥子著)に、面白い箇所があり、
皆さんと、クスっと笑いで暑気払いできたらと、、以下です。


アリストテレスの『断片集』、『ピュタゴラス派について』という著作の中で、
ピュタゴラス派のかなり奇怪な禁令集「シュンボロン(symbolon)」に対し、
アリストテレスが、彼らの見解を理解しようと(?)、丁寧に解釈をしているのでした。
(p151-152)


そのいくつかを挙げたいと思います。

シュンボロン(「べからず集」)
←矢印以下はそれに対するアリストテレスの解釈を示しますね。


①秤りを踏み越えるべからず。
(人より)余計取ろうとするなということ。公正を踏み越えてはいけないということ。

④心臓を食べるべからず。
悲しみで自分を苦しめてはいけないということ。悲嘆を心から追い出すことの勧め。

⑤一日の糧の上に座るべからず。
働かないで生きていてはいけないということ。

⑥旅立ったなら、引き返すべからず。
死んだのに、この世の生に執着してはいけないということ。
死んだあとは、この世の生を惜しんではいけないということ。


⑦大通りを歩くべからず。
多数者の意見に従うことを禁じ、少数の教養ある人の考えに従えということ。
多数者の間違いの後を追ってはいけないということ。


⑧ツバメを家にいれるべからず。
おしゃべりで、口舌の抑制がきかない人々と同じ屋根の下に住んではいけないということ。

⑨荷を負うものの荷を加えるのを助けよ、減らすのを助けるべからず。
楽をするために協力するのではなく、徳のために協力することの勧め。
徳に向かう人を励まし、怠慢な人を見捨てろということ。



さすが、徳の人アリストテレス!
どこまでも涙ぐましい努力を惜しまない哲人でありました^^

「どんなに奇妙に見えようと、それは普遍的でなければならない。
そうでなければ皆に妥当するはずがない。
だから、何を意味しているのかの解釈が可能であり、そして、必要なのだ」
(p160)


さて、奇妙な「べからず」に、皆さんならどんな解釈をなされますか?
しばし、暑さを忘れて、古代ギリシャにタイムスリップしませんか


えっ、余計に暑くなったって、、?



こんな毎日にこそ、
涼やかに呼吸し、ここち良い風を身心に巡らせていきましょうね

引き続きYoga!ご参加お待ちしております。

2023.07.18 Padma 2023 続
厳しい暑さが続く中、
つぎつぎと、美しい姿を見せてくれています。

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早朝、ゆるんだ蕾から初々しい純白の光を放ち、
まだ蕾の青をうっすらと表面に残したままのその可憐な華は、

数時間後お昼前には、
儚い命を保つように、そっと花びらを閉じてしまいます。


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早朝に開いて、お昼前には閉じてと
その繰り返しを三回(三日)終えたあと、

命の時間を数えていたかのように、
四日目には、もう閉じることなく、

みごとに、一気に、花びらを散らしてしまいます。


みずからの定めを知っているのでしょうか。

散り行くその前日、
お別れを告げる光を放った白蓮をご笑覧ください。

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『維摩経』
「身は泥中の蓮華」に由来する諺「泥中の蓮」にみるように、

「煩悩の汚れの中にあっても決して染まらず、
清らかに純真な心と姿を保って生きよ」、

とその生きざまを示してくれているようです。


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2023.04.27 己事究明
後期の西田幾多郎先生にラブレター?を発見


私と汝を包摂する何らの一般者もない。
しかし私は汝を認めることによって私であり、
汝は私を認めることによって汝である。
私の底に汝があり、汝の底に私がある。
私は私の底を通じて汝へ、
汝は汝の底を通じて私へ結合するのである。
絶対に他なるがゆえに内的に結合するのである。

『無の自覚的限定』



この西田の「底」とは、
「絶対無の自覚の場所」(自己が自己に於いて自己を見る、包む、無分別の世界)をいう。

もしかしたら、この「底」は、
フランス現代思想のジャック・ラカンの「穴」としての現実界(le réel )とも類似する概念かもしれない。


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講義ノートをちまちま(^_^)


後期の西田は「絶対無の自覚」の底に於いて、
響き合う「私と汝」(私の人格と汝の人格)の世界から、
「私と汝と彼(彼女)と物」、
そして「個物的多の世界」の歴史的現実界の創造へと還相して行く。

還相廻向と、菩薩行に思いを馳せて、
ずっと知行合一の修行なり (*^_^*)


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Sirsasana(頭立ちのポーズ)
~Photo by Chisakoさん (^^) 連写をありがとうございました~




2023.04.20 春陽
NYから春が届きました

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@Central Park 4/15

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@Park Ave. & 90th

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Yukiさん、ありがとう\(^o^)/


こちらはLondonから 

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4/16 娘より


春の朝

雀がなくな、
いい日和だな、
うっとり、うっとり、
ねむいな。

上の瞼はあこうか、
下の瞼はまァだよ、
うっとり、うっとり
ねむいな。

『金子みすゞ全集』




東京ははや新緑を迎える頃となりました。

なにかと気ぜわしい時節でありますが、
こころを優しく包んでくれるような春陽に時に身を委ね、
「内側」をも楽しみましょうね。



@赤坂日枝神社 4/16
2023.03.16 桜 2023
山花開似錦 澗水湛如藍  『碧巖録』
 (山花開いて錦に似たり 澗水湛えて藍の如し)


永遠の美しさを宿すいのちが現れ始めました。




昨日、様子を見に行った近くの小学校の桜です。




「三日見ぬ間の桜かな」

雨よ風よ、
しばらくの間は、散らさないでいてね。



藍に湛えて波一つ立てないように見える川淵の水も、
永遠にそこにとどまっているように見えても、
水は滔滔と流れ、そこに止まることはない。

「刹那を離れて永遠はなく、個を離れて全体はない」と
先の禅語の大龍和尚は示してくれています。


花のいのちに、止まない流れに、
その刹那の中に、永遠を味わいたい春ですね



@新宿御苑 3/12

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