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2017.11.14
世親像~運慶

今年の一月、日本橋高島屋で開催された「興福寺中金堂再建・法相柱 柱絵完成記念展」で
偶然にもその会場で画家の畠中光享氏と出会い、直にお話しをする機会をいただいたこともあり、
来年秋の興福寺を訪れることを楽しみにしていたところ、
今秋は東京博物館に運慶来る!

これは必見!
なぜなら、
畠中氏は柱絵を描くに際し、運慶像をヒントに法相の祖師たちを描かれたとおっしゃっていました故に
これは無著と世親をぜひ観なくてはと(^-^)/

☝️法相柱になる畠中氏の画
👇運慶作、無著と世親

遠くながら瑜伽の行を学ぶ身としましては(=∀=)
2m近くもあるふたりが並んだ像を目の当たりにし感動でした。
でもここにいる世親ことヴァスバンドゥ、実は、
大乗論書に対する注釈を多く残した無著の実弟であることに間違いはないのですが、
(古師ヴァスバンドゥ)
多くの重要な著作『倶舎論』や『唯識三十頌』、『唯識二十論』などを著した唯識思想の大成者である
ヴァスバンドゥとは別人だという。(こちらは新師ヴァスバンドゥと呼ばれる)
古代インド仏教瑜伽行唯識学派の僧ヴァスバンドゥには古師と新師の二人説があり、
インド哲学をご教授いただいている先生のお話しでは
運慶のヴァスバンドゥ像は古師ヴァスバンドゥの方だと。(°_°)
ならこの「法相柱 柱絵完成記念」の図録に記載されている内容も実は…間違いってコトに。

真相はわかりかねますが、
運慶が実にすばらしいことに変わりありませぬ(#^.^#)

サンスクリット語の原語から読み解くと、天部の仏神のはたらきがより明確になってまいります。
先生からご教示いただいた「四天王」の例です。
東方の「持国天」は、 धृतराष्ट्र [dhṛtarāṣṭra]「持続する国を保つもの」(マハーバーラタの登場人物!)
西方の「広目天」は、विरूपाक्ष [viruupaakSa] 「異形(特殊な)目をもつもの」
南方の「増長天」は、विरूढक [viruudhaka] 「発芽したもの(穀物)をもつもの」
北方の「毘沙門天・多聞天」は、वैश्रवण, [Vaiśravaṇa]「すぐれた名声をもつもの」
以上、奥深き梵語の覚え書きでした(^-^)/
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